安藤忠雄氏「ルネサンス・フランセーズ大賞」授賞記念講演会開催報告 | ルネサンス・フランセーズ 日本代表部 | La Renaissance Française au Japon

お知らせ

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安藤忠雄氏「ルネサンス・フランセーズ大賞」授賞記念講演会開催報告

安藤忠雄先生のフランス大使公邸でのルネサンス・フランセーズ大賞表彰式と

フランス商工会議所での講演会は滞りなく挙行することができました。

ご自身の教育とのかかわりを忌憚なく吐露された幼少時代。

驚くべきファイティング原田とのボクシングを通しての出会い。

京都大学、東京大学よりの教授就任要請の時のお話、

世界放浪の旅の体験、

シベリア鉄道でヨーロッパ入りしパリに到着も、

ル・コルビュジエには会えなかったこと、

パリのサヴォア邸の近代建築の5原則の言及、

現代画家のモンドリアン、ピカソ、カルダーらの作品の変貌。

福武氏や堺屋氏とのプロジェクト、などその稀有な人生には驚嘆します。

 

「住吉の長屋」はコンクリート打ち放しと

その幾何学的フォルムの独自の表現によって高い評価を得ました。

その数学的着想が私たちのルネサンス・フランセーズの創設者レイモン・ポワンカレの従兄

世界的数学者アンリ・ポワンカレの位相トポロジーからも来ていると聞いて親近感を覚えます。

 

先生のお話をお伺いしておりますと、

建築家・安藤氏と都市や社会とのつながりが大変に強いものであることに圧倒される思いです。

行動する男という強いメッセージ。

そしてその舞台が、日本のみならず諸外国、なかんずくフランスであることに

ルネサンス・フランセーズという公益法人としても大きな誇りを感じます。

 

安藤先生は講演中にも何回かこの日本の少子高齢化社会のなかで

年配者に気概があるのに若者に元気がないことを強く憂慮されました。

 

人間は幼少時代に文化的な感性に接する機会がないと大人になってからでは遅い。

大阪・中之島や神戸に子どもの図書館を建築したのも子供こそ可能性の表象であり、

どんな人間もやり直せるんだという信念からです。

子供も老人も自由に読書できる空間。

前面道路を開放することに大阪の行政も賛同したり、

一般から2万冊の書物の寄贈が得られました。

 

ここの巨大な青いリンゴのオブジェを触ることで青春の情熱は蘇ります。

日本人は元気がない。

お金をみんな持っていません。

マンション賃貸の一億総不動産屋になってはいけません。

想像力や教養を育む読書は人生の充実と希望の源泉です。

 

誠に、文化という人間の価値基準の体系を忘れた

政治経済だけの思考では、世界は和平には至りません。

フランスは文化の重要性を知っている国です。

感性を磨くことが重要です。

日本とフランスの文化的なプラットフォームを形成して、

ひととひととの博愛の精神と、言語の重要性を通じてこの世界の、

この社会の争いごと、対立を超克していくことを目指している

ルネサンス・フランセーズの精神とまさに合致するものです。

 

ルネサンス・フランセーズ日本代表部

会長 瀬藤澄彦

 

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